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一般質問

東広島市役所 第2庁舎建設計画は必要か!?

市議選の公約に掲げた東広島市役所 第2庁舎建設計画(総額70~80億円)は慎重であるべきを実現するため、6月・9月定例会で一般質問をしました。

その結果、中央生涯学習センター跡地活用の「大屋根広場」と「第2庁舎」の工事着手については別々に進めるという方針が示され、一定の成果を挙げることができましたが、計画が白紙になったわけではありません。

★追記
12月の定例会で、【子育ての無料化か、第2庁舎建設計画か】という、二者択一を問う一般質問をしました。こちら(活動報告)


6月定例会一般質問の動画は、こちら(YouTube)

9月定例会一般質問の動画は、こちら(YouTube)

東広島市中心部

■ 新たな公共施設建設は慎重であるべき!! 

 質問 
中心部ではグランドデザインがないまま、現本庁舎、芸術文化ホールくらら、新美術館が建設された。
6月定例会において、第2庁舎建設計画については、住民理解やニーズ調査が十分ではないことから、跡地活用プランと一体的な推進の再検討をお願いしたところ、跡地活用を先行することとなった。
人口減少は危機的状況であり、新たな公共施設の建設は慎重な検討が必要である。所見を問う。

 答弁 
将来の人口減少などの社会情勢の見通しを考慮すると、新たな施設の整備や維持管理のコスト検証の際は、以前よりもさらに注意深く見極める必要がある。

■ 市役所第2庁舎建設計画、当面は着手しないと示唆 

 質問 
30年後の東広島市がどう変わるか市民には分からない。
今後20年間で半分くらいの仕事が、AIによって無くなると言われている。
市役所だけが旧態依然と残っているとは思えない。
第2庁舎建設も含め、これからの市役所像を問う。

 答弁 
30年後の姿は描きづらいが、ロボットによって人間の仕事も半分になるとも言われ、行政も大きく変わることは間違いない。
第2庁舎建設は総合管理計画に入っていないが、財政的に可能か検証する。 

※ 総合管理計画:令和3~12年度の公共施設等の整備・修繕・改修・更新等に係る経費を1530億円以内で最適化する計画のこと

■ 数多くの問題点

  • 総事業費70~80億円にもなる第2庁舎建設計画(7階建て 9,000㎡)のことを、多くの市民は知らされていない。
大屋根広場(跡地活用)9.4億円
市役所第2庁舎50億円
北館建て替え2~6億円
立体駐車場10億円
その他公園整備
第2庁舎建設計画の内訳
  • 中央生涯学習センター跡地の活用は2016年から検討されていたが、2021年の追加アンケートでは第2庁舎に関する項目が含まれていなかった。
    2016年の跡地アンケート調査では、市民から「あったらいいなと思う」施設の要望があり、これが第2庁舎建設の根拠と推測される。

  • 2022年3月までは「跡地活用プラン」だったものが、2022年5月には「跡地活用プラン」に名称が変更され、事業費は10億円から70~80億円に大きく膨らんだ。
    「等」という一字が追加されたことで、本計画が2016年から継続して議論されてきたという印象を受けるが、2022年3月まで議会で具体的に議論されたことはなかった。
    また第2庁舎については有識者等の検討委員会は設置されておらず、幅広いニーズ調査やアンケート調査も実施されていない。市役所内の机上でのみ進められている。
「跡地活用」から「跡地等活用」に変更
  • 2022年3月までは「第2庁舎」と呼ばれていたものが、2022年5月には「新施設」という名称に変わり、大型施設という印象が薄れたように感じる。
2022年3月までは「第2庁舎」と呼ばれていた
  • 第2庁舎建設のために、北館の建て替えが提案されているが、北館は改修すれば今後30年程度使用できる。市民の財産を解体することは慎重であるべきだ。
    2022年11月の議会提案では北館の建て替えは全く検討されておらず、2022年12月議会で北館や総合福祉センターなど周辺公共施設も含めて総合的に検討すべきだという議論を受け、2023年2月に北館の建て替え案が示された。
    総事業費70~80億円の大事業の計画にも関わらず、1か月余りの検討で急転直下、計画変更がされたことは、慎重審議されたとは言えないのではないか。


  • 跡地活用プランとして「大屋根広場」を建設することになったが、この計画と一緒に第2庁舎建設を進めることに、市民理解が得られるとは思えない。
    6月定例会で一般質問した結果、7月の市長定例記者会見で「大屋根広場」を先行して整備し、第2庁舎建設とは切り離すことが表明された。


  • 人口減少社会において、公共施設の削減は自治体の大きな課題だ。
    新たなハコモノ建設は、50年後を見据えて計画すべきだ。
    AIによって20年後には半分の仕事がなくなると言われる時代、職員数など将来的に市役所がどう変わるか不透明な状況で、建てた瞬間から負の遺産となる庁舎の有効性を市民の理解が得られないまま、第2庁舎を建設することには賛成できない。


  • 第2庁舎内に整備される予定の子育て支援センターは、基幹としてのセンターであり、子育て世代が求めている児童館ではない。
    乳幼児健診室・セミナー室・相談室・一時預かり(来庁者のため)・執務室等が計画されているが、子育て世代は市役所へ出向くのではなく、自宅や身近な場所で相談できることを望んでいる。
    基幹となる本庁のセンターではなく、リモートの相談体制や地域子育て支援センターの充実を図るべきと考える。
  • 令和3年度の「跡地活用プラン」では、計画書策定に対して939万円の予算が計上されていたが、同年5月には、「跡地活用プラン」として計画範囲が10億円から80億円に大幅に拡大された。
    このような事業規模の変更にもかかわらず、補正予算で策定費用を増額することもなく、939万円のままプランを策定しているのは、極めて不自然だ。
    事業費が70億円も増えたのに、計画書策定の予算が全く変わらないというのは、説明がつかない。

    この質問に対し、「市民ニーズ、先進事例の調査、関係法令等、職員の裁量によって政策を作った」と答弁しているが、第2庁舎は多岐にわたる利用目的があり、中長期的な視野で検討する必要がある事業である。
    中長期的な財政見通しが示されていない本市において、このような計画は無謀と言わざるを得ない。

■ まとめ

6月と9月定例会で一般質問した結果、「大屋根広場」と「第2庁舎」の工事着手については別々に進めることになりましたが、第2庁舎建設計画が白紙になったわけではありません。

東広島市の財政状況は他の市町と比べると、現状では多少いいかもしれませんが、全国的には非常に厳しい状況です。20年、30年先を見据えた財政運営を検証しなければなりません。
現在の庁舎が建設されてからわずか11年で第2庁舎を建設する必要があるというのは、私には理解できません。

第2庁舎があれば快適かもしれませんが、本市には優先しなければならない事業が山積しています。

  • 保育所・小中学校の長寿命化
  • 市内の老朽化した公共施設の改修や更新
  • 橋梁や水道管、道路等の整備や更新

安全、安心な暮らしのための事業に早急に取り組むべきだと思います。

■ 所感

6月定例会一般質問は、第2庁舎と大屋根広場の計画を切り離して進めるラストチャンスでした。
執行部はこの2つの計画をセットで進めようとしており、2024年には両方とも基本設計に入る予定でした。
大屋根広場については丁寧な検討をされてきましたが、第2庁舎についてはエビデンスとなるものは全くありません。

一般質問では市長との厳しい攻防もあり、地元情報紙は第2庁舎建設計画については全く触れずに、私の発言の一部を切り取って「不適切」とか「新人議員の反面教師」といった、かつてないほどのバッシングをしました。
私はこのようなバッシングにはひるみません。市民のための正義を貫く覚悟です。

6月定例会後の市長定例記者会見で、2つの計画を別々に進めるということが表明されました。(2023/7/5中国新聞)