2024年(令和6年)は、1年をかけて【次世代学園都市構想を検証する】ため、一般質問および代表質問を含め、計3回にわたり質問を行いました。
広島大学の研究者による、大学を中心としたまちづくり構想を実現するためには、多くのハードルが存在し、多額の財政負担が伴います。
東広島市は、この構想を「大きな仮説」と位置づけていますが、税を投じる以上、自治体として、実現可能性を見据えた議論を進める必要があると考えています。
2月定例会「清新の会」代表質問の動画は、こちら(YouTube)
6月定例会一般質問の動画は、こちら(YouTube)
9月定例会一般質問の動画は、こちら(YouTube)
■ 次世代学園都市構想って、何?
次世代学園都市構想は、市、大学、企業が連携し、地域課題の解決に取り組む「Town & Gown 構想」の中核をなす取り組み。
広島大学を起点としたエリアで、スマートシティ(先端技術を活用して、地域課題を解決する、新しい都市)の実現をめざし、持続可能な発展に必要な諸施策を、総合的にまとめたまちづくり構想である。
現時点では、多様なアイデアを整理した初期段階にあり、社会や技術の変化に応じて、柔軟に進めていく。
■ 構想のモデルは?
アリゾナ州フェニックス大都市圏のテンピ市に本部を置く、アリゾナ州立大学(ASU)が実践する「アカデミック・エンタープライズ」がモデルである(一般的には「ニュー・アメリカン・ユニバーシティ・モデル」として、知られている)。
多くの企業が集積する都市圏において、ASUは、既存の都市環境を最大限活用したキャンパス展開を行っている。
さらに、企業が求める即戦力となる人材を輩出しており、企業は人材育成や研究支援を目的に、大学へ寄付を行う。この相互関係が、都市圏全体の持続的な発展を支えている。
■ フェニックス大都市圏って、どんなところ?
- フェニックス市:アリゾナ州の州都であり、人口約160万人を擁する、アメリカ第5の都市。
- 大都市圏:約500万人が居住し、アリゾナ州全体の約2/3の人口が集中する広大なエリアで、アメリカ版の「東京首都圏」に相当する規模感を持つ。
- 交通の要衝:国際的なハブ空港である、フェニックス・スカイハーバー国際空港や、広範な高速道路網を有し、市中心部には、路線距離約45kmのライトレールが運行されている。
- 企業集積:TSMCやインテル、ボーイングをはじめとする大手企業が拠点を構え、日本企業ではトヨタ自動車、住友商事、ブリヂストンなどが進出。ハイテク産業を中心に、観光業やサービス業も重要な経済の柱となっている。
- 経済成長と人口増加:リーマンショックで一時的な影響を受けたものの、経済成長と共に、人口は100年以上増加し続けている。
- 観光と娯楽:観光やプロスポーツも盛んで、温暖な気候や砂漠の景観、ゴルフリゾートに加え、アメリカ4大プロスポーツチームが拠点を構えるなど、多様な体験ができる。
■ 9月一般質問
質問
次世代学園都市構想のモデルである、アリゾナ州立大学が立地するフェニックス市では、自治体が事業費や費用対効果を示し、住民投票を経て、民意に基づく計画を推進している。
しかし、本市では事業開始から3年が経過しても、市民理解が十分とは言えず、コンソーシアム内部での決定によって事業が進行しているため、議会もプロセスを把握しづらい状況にある。
市民理解の促進と、事業の透明性について、どのように考えているのか。
答弁
実現にあたっては、関係者の理解や、合意形成を図ることが当然である。
フェニックス市とは、意思決定の仕組みが異なるため、住民投票は実施しないが、市として全体像を丁寧に説明し、市民の理解を得ながら進めていく。
質問
本構想にかかる市の財政負担は、現状では人件費と大学連携事業だが、今後のインフラ整備等にかかる、市の財政負担をどのように算定しているのか。
答弁
全国でも例のない取り組みであり、一定のリスクを伴う可能性がある。
そのため、国や県の交付金に加え、民間資金を最大限活用するなど、先導的な取り組みを進めている。
財政負担については、国、県、市、民間が応分とし、世界から選ばれるまちづくりをめざす。
質問
本構想は、仮説ではないか。
広島大学というフィールドで、大学の研究の、実証実験を行っているのではないか。
答弁
大きな仮説であることには、間違いない。
しかし、単なる研究ではなく、社会課題と結びついた研究や、人材育成を行いながら、街を発展させる「タウン・アンド・ガウン」という、新しいカテゴリであると考えている。